『パラサイト 半地下の家族』感想(ネタバレあり):半地下家族の父親に共感してしまう自分がいた

  

※重要なシーンのネタバレあり。まだ見ていない場合は、ブラウザバック推奨です。

 

 

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出典:https://www.cinematoday.jp

 

こんにちは。先日『パラサイト 半地下の家族』 を鑑賞しました。

 

「パルムドール賞受賞?なんかすごそう!」という軽い気持ちで見に行ったのですが、 何とも衝撃的な作品でした...

 

半地下家族がお金持ちに寄生する話だと思っていたら、さらなる寄生虫もいたなんて。この事実が明らかになるシーンは、まるでホラー映画のよう。

 

  

全体の感想はなかなかまとまらないので、気になった部分についてのみ書いておきます。私は、半地下に住むキム一家の父親(キム・ギテク)が、お金持ちのパク一家の父親(パク・ドンイク)を殺したシーンが一番印象に残りました。

 

衝撃的なシーンであったことはもちろん、キム・ギテク氏のなかに殺意が芽生える過程に、納得してしまうというか、彼の葛藤が見えるというか....

 

高台に住むお金持ちと、半地下に住む貧乏人。両者は同じ人間だけど、同じ人間だと思われていない。このことがはっきりと感じられました。

 

 

具体的には、パク・ドンイクはキム・ギテクの匂いに鼻をつまんだり、彼が出すぎた意見をするのを嫌ったり。その様子には、自分と同じ場所に来ることを許してないような、人間として対等だと思っていないような印象を受けます。

 

そして、そんな扱いを受けるたびに曇っていく、ギテク氏の表情

 

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半地下家族は、自分たちにまんまと騙されているお金持ちをあざ笑っています。その様子は攻撃的ですが、根本には彼ら生活への羨望があるように感じます。

 

印象的なのが、地下室で元家政婦の夫婦と対峙したシーン。このときに父親のギテク氏は、「あんなに優しい(純粋な?)家族を困らせてどうするんだ」(細かいセリフは覚えてないけど)と言っていました。

 

夫婦を言いくるめるための言葉なのかもしれない。でも、どこかで本当にそう思い込みたいのでは、とも感じました。

 

ギテク氏は、自分たち家族と純粋な彼らは違う人間、だからこんなに格差があるのは当たり前だと自分を納得させているのかな、と。

 

 

そして、ドンイク氏はパク家族たちをどう見ているのか、パーティーのシーンで明らかになります。

 

ギテク氏の娘・ギジョンが、パーティーに乗り込んできた男によって、急所を刺されてしまいます。しかし、ドンイク氏は、痛がる彼女には目もくれず、気絶した自分の息子を心配をするのみ。

 

さらに、娘を介抱するギテク氏に、息子を病院まで運ぶように命じます。その後、車のキーを取るために瀕死の犯人に近づいたドンイク氏は、男の匂いに顔をしかめ、ギテク氏の時のように鼻を摘まみます

 

 

この過程で、ギテク氏のなかにはっきりした殺意が芽生えたのを感じました。自分たちを無いもの(または無価値なもの)として扱う姿。そして、殺人犯とギテク氏を同じ種類の人間だとみなして、嫌なものとして扱う姿。

 

 

そこにギテク氏が信じようとしていた純粋さはなくて。ただただ貧乏人を見下す金持ちの姿だけ。

 

同じ人間なはずなのに、そう扱われないことへのフラストレーション。これを強く感じるシーンでした。

 

 

この時、ギテク氏に少し共感している自分がいて。ここまで極端な経験はないですけど、自分の存在がないがしろにされてるなと思うことがたまにあるので。

 

 

...と、ここまで書いてきましたが、正直なところ全体像はあまりつかめない作品でした。でも、前半からは想像できないような驚きもあり、面白かったです。テンポがいいのでだれずに見れました。

 

あと、キム・ギテク役のソン・ガンホの演技力が光っていた!