「窓展」で、”窓”への新しい視点がひらけた【東京国立近代美術館】
こんにちは。
東京国立近代美術館で開催中の「窓展~窓をめぐるアートと建築の旅~」に行ってきました。
”窓”という絵画に描かれるモチーフに着目しているのがおもしろそうだな~と興味を持ったのがきっかけ。
実際に行ってみてとてもよかった!普段意識していなかった”窓”の効果に気づくことができました。
みどころなど、以下の流れで紹介します。興味を持った方はぜひ行ってみてください~~
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「窓展」の簡単な説明
・開催期間 2019/11/01~2020/02/02
窓は作品にどんな効果を与えているのか。窓が登場する絵画や写真などを通して、窓が持つ意味を考える展覧会です。
展示前半は、絵画や写真がメイン。後半には、映像や立体作品なども展示されていて、鑑賞というより体感するイメージです。
本展は、窓研究所とタッグを組んで開催されているようです。窓研究所とは、「窓は文明であり、文化である」という思想のもと、文化事業を行う財団法人。
こんな団体があったとは初めて知りました。
詳しくはこちら↓
窓展の前に:東京国立近代美術館について
都内の美術館によく行くのですが、なぜかこの美術館は今回が初めて。実際に行ってみると、進歩的な美術館だなという印象を持ちました。
その理由は、以下の3点。
- 一部の作品を除いて撮影OK
- キャプションが4か国語対応(日・英・中・韓)
- 館内FreeWi-Fiあり
この3つの要素がそろっている美術館って、日本だとなかなかないのでは。特に、写真撮影に関しては、まだまだ禁止している館が多い気がします。
しかし、写真を撮っていけない理由が、個人的にいはいまいちわからなくて...(フラッシュは作品が劣化するので絶対だめですが、それさえなければ作品に影響がないため)
作品ごとに許可を取るのが大変とか、日本ではまだ美術館で撮影するという文化が育っていないからかなあなどと考えています。
海外の有名どころの美術館は撮影可のところが多いので、このほうが訪日外国人も馴染みやすいのではと感じました。
みどころ(印象に残った作品など)
横溝静《Stranger No.5》《Stranger No.13》
見知らぬ人に手紙を送り、指定した日時に家の窓際に立ってもらったところを撮った作品。被写体は、カメラマンの名前も知らないまま、窓際からレンズを見つめている。
この作品において、窓は安全に両者を隔て、かつ瞬間の出会いを可能にする機能を果たしているそうです。
目に見えているものだけでなく、その背景まで知ることでおもしろい作品。個人的には、今回の展示で一番印象に残りました。
窓の外にいる名前も知らない人に見せた表情だと知ると、一枚目の微笑んだ顔も、2枚目の硬い表情も愛おしく思えてきます。
窓一枚隔てていることで、好奇心を開放して、安心して写真を撮られることができたのかなとか、窓の効果に思いを馳せる...
会場には、撮影を依頼した手紙の文面も展示されています。ぜひ手紙を読んでみてから、被写体の表情を見てほしい。何か感じるはず。
窓が印象的な作品大集合
作品自体が展示されているのではなく、窓が描かれた絵画や、窓が印象的な建築物をまとめて年表にした展示物がありました。これがとてもおもしろい。
知ってる絵画や建築がいくつも出てくるのですが、これまで”窓”に注目して鑑賞していなかったことに気づかされました。
建築物の中には都内で見られるものもあります。
- プラダ青山
- 中銀カプセルタワービル
話が脱線しますが、中銀カプセルタワービルが気になったので調べてみました。
中銀カプセルタワービル
黒川紀章が設計した、カプセル型集合住宅。それぞれの部屋の独立性が高いため、技術的には部屋(カプセル)ごと交換することも可能。
でも、実際に行われなたことはないらしい。
以前から建て替えが検討されているようなので、無くなる前に見に行きたいなあ。
閑話休題。
アンリ・マティス《待つ》1921-22
本展のポスターにもなっている作品。
今まで何回かマティスの作品を見てきて感じたのは、写真で見るのと実際に見るのとでは、全く印象が違うということ。実物のほうが何倍も魅力的です。
目の前で鑑賞したときに新鮮な驚きがあるので、私はマティスの作品が大好き。今回の展覧会も、この作品を見に行ったようなものでした。
でも、いつもみたいな実物と対面したときの感動はあまりなく...
もちろん、美しく魅力的な作品ではありますが。写真の時点でそこそこきれいなので、実物を見たときとのギャップが少ないからかなあ。
いろいろ言ってしまいましたが、美しい作品なのでおすすめ。(私の期待値が高かっただけ。)
奈良原一高《〈王国〉より 沈黙の園》《〈王国〉より 壁の中》
奈良原一高の写真シリーズ〈王国〉から、1枚目が沈黙の国、2.3枚目が壁の中。それぞれ、修道院と監獄という閉ざされた世界を題材にしています。
ここで、窓は閉ざされた世界と外の境界としての役割を果たすもの。
最初に紹介した横溝静の作品では、窓は安全に両者を隔て、かつ瞬間の出会いを可能にするものでした。しかし、この作品での窓は、外との断絶を表すもの。
窓の持つ違った意味合いを感じた作品でした。
後半は映像や立体作品が多め
ここまで紹介した作品は、絵画や写真でしたが、後半は映像や立体作品などが多めです。
あることをしないと入れない部屋があったり、自分を映して体感できる作品があったりと、盛りだくさん。
おわりに
東京国立近代美術館で開催中の「窓展~窓をめぐるアートと建築の旅~」を紹介しました。取り上げた作品以外にも、おもしろい作品がたくさん。
2020/02/02までやっているので、気になった方はぜひ行ってみてください~~
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