『ボトルネック』のエンディング曲は、モー娘。『夕暮れは雨上がり』にしてほしいという妄想
タイトルそのままの妄想。もし『ボトルネック』が映画化したら、という話です。
米澤穂信『ボトルネック』
今まで読んだなかで最も印象深い作品が、米澤穂信の『ボトルネック』。2006年に刊行された小説です。
★あらすじ
恋人を弔いに東尋坊を訪れた主人公は、彼女の亡霊に引き込まれるようにして、パラレルワールドに迷い込んでしまう。そこでは、自分の世界では生まれる前に亡くなった姉が生きていて、弟である自分は生まれていない世界。本来出会うはずのない彼らは、お互いの世界がどのように違うのか間違い探しをすることに。そうすると、姉のいる世界のほうが、なにもかもいい方向に変化していることを知ってしまう。
間違い探しをすればするほど、自分が必要のない人間だと悟っていく主人公...
救いようがないけど、とても好きな作品。初めて読んだのが中学生のときで、その当時の鬱々とした気持ちに合っていたからかも。
で、ここからが本題。
もし『ボトルネック』が映画化したら、エンディングでモーニング娘。の『夕暮れは雨上がり』を流してほしい。
モーニング娘。『夕暮れは雨上がり』
『ボトルネック』を初めて読んでから数年後、モー娘。の『夕暮れは雨上がり』がリリースされました。
美しいメロディーと、つらくても前を向いて進んでいく歌詞の組み合わせが、なんとも切ない気持ちになる曲。
人によって解釈が分かれると思いますが、私は『ボトルネック』のラストは救いようのないバッドエンドだと思っていて。
小説のバットエンドと、つらくても前を向く歌詞の組み合わせは、最高の皮肉。主人公がパラレルワールドで経験する皮肉な出来事と重なるので、エンディングにピッタリだと思いました。
また、美しいメロディーによって主人公のこれまでのつらさが浄化されるような気もして。ラストシーンでこれが流れたら私は映画館で引くほど泣くと思う...
『ボトルネック』とリンクする歌詞
『夕暮れは雨上がり』のなかから、『ボトルネック』にリンクする歌詞を引用します。
だれにも見せたくない こんな涙顔は
作詞:つんく♂
サキ(生まれなかった姉)と別れるとき主人公の気持ちはこんな感じかな、と。
夕暮れは雨上がり 私の胸に希望の光 照らしてくれました
思い出すわ楽しい日々 懐かしい日々 もう戻らないね
主人公にとって、恋人のノゾミは一筋の光だったと思う。だけど、自分の世界ではもう帰らぬ人になっているというやるせなさ。
頑張っていることは 私もそうね あの子もそうよ
主人公も頑張っていたし、サキも頑張っていた。でも、結果は全く違うものになってしまった。何とも皮肉な結末。
おわりに
『夕暮れは雨上がり』発売時から約5年くらい温めていた妄想を、文章にしてみました。
久しぶりに『ボトルネック』を読み返そうかな。