DVDで見返す前に「JOKER」の感想を書いておく。主に「ジョーカーと笑顔」についての話。※ネタバレあり

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出典:https://eiga.com/movie/90681/gallery/5/

 

そろそろ『ジョーカー』のデジタル配信&DVD発売開始なので、もう一度家で見返す前に、映画館で鑑賞したときの感想を残しておく。ちなみに、デジタル配信は1/8~、DVDは1/29~発売開始。

 

主に書いておきたいのは、「ジョーカーと笑顔」について。キャッチコピーに「本当の悪は笑顔の中にある」とあるように、この作品と”笑顔”は切り離せない。

 

 

 

 

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笑顔は極限の反応

アーサーは神経に障害があって、自分の意志とはかかわらず笑いがとまらなくなってしまう。作中で何度もそういうシーンが描かれているが、彼のこの症状は、自分の心が傷ついた時など”強いストレスを感じた時”に決まって表れていると感じた。

 

 

いくつか例を挙げる。その時、どんなストレスがあったかも考えてみた。

 

  • バスの中で子供を笑わそうとして、母親に断られたとき
     →断られたことで彼の自尊心が傷ついた

  • 仕事を首になった後に、電車でナンパする男たちを見たとき
     →仕事を首になったやるせなさや今後への不安&目の前の光景への恐怖?

  • 劇場でネタを披露したとき
     →コメディアンとして認めてもらいたいという緊張感

  • お父さんだと思っていた人と対面したとき
     →自分の出生について真実を知りたいという思い

 

 

”笑う”という行為は社会的なもの。それが止まらなくということは、社会になじみたい・受け入れられたいという心理の現れのように感じた。作中でアーサーが幼少期に虐待を受けていた話がちらっと出てくる。そのようなつらい環境を受け入れなくてはという脅迫めいたものが彼のなかにあり、そのストレスが極限に達した結果、笑いが止まらなくなったのではとも考えた。

 

 

アーサーと笑いの関係はそれだけではない。手で無理やり口角を上げて笑顔を作るシーンが何度かあるし、テレビショーに出演するときには楽屋の鏡に「Put on a HAPPY FACE」と書いていた。無意識に出てしまう症状以外に、アーサーは意識的にも笑顔になろうとしていることがわかる。

 

それは母の教えが関係しているのだが、涙を流しながらも笑顔になろうとする姿は悲しいし、どこか脅迫めいた心理を感じてしまう。アーサーのこのような行動を見ていて、彼は笑顔(または笑い)に支配されていると感じた。

 

 

しかし、マレーのテレビショーに出たときの彼は、発作の笑いを起こさなかった。これは、社会になじみたいという心理がなくなったからではないか。この時、彼は社会に適合することをやめて、アーサーではなく”悪のカリスマ”ジョーカーになったのだと感じた。

 

 

これで、ジョーカーと笑顔の話は終わり。以下では、「きっかけ1つで変わってしまう秩序」「色彩と文字、光」の2つについて書いていく。

 

 

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きっかけ1つで変わってしまう世界

刑事たちがジョーカーの姿を追って電車内に入っていくシーン。一般的に考えれば、警察が”正”でジョーカーが”悪”の存在だと思う。しかし、電車内はデモに向かうピエロたちばかりだったため、そこではジョーカーが正で、警察が”悪”の世界になってしまう。そのため、刑事たちはジョーカーを支持するピエロに襲われる。

 

このように、電車内という閉鎖空間で、自分が正しいと信じていたものが悪になってしまう感じがすごく怖かった

 

 

同時に、アーサーが普段生きている世界のもろさも感じる。電車内のように、きっかけ1つでガラリと変わってしまう世界なのではないかと。バーで、「頭がおかしい奴はいないものとして扱われている(正確なセリフは忘れた)」と、アーサーが言っていた。そして、「僕だって存在している」とも。

 

彼はこう感じるほど社会の隅に追いやられた存在だったが、何かきっかけがあれば自分の世界を変えられるという思いがあったのだろうか。その気持ちによって、彼はコメディアンになることを目指し、父親に執着したのか。しかし、彼は自分の世界を変えられず、ジョーカーへと変貌してしまった

 

 

作品終盤でのアーサーは、”悪のカリスマ”ジョーカーとなり、信者たちによって祭り上げられているようにみえる。しかし、実際のところは、社会に不満をため込んだ人たちがそれを発散するための理由にジョーカーを選んだだけ。すごくむなしいヒーローだ。

 

 

色彩、文字と光

ここからは、ストーリではなく映像について。この作品は、色彩がとても美しい。例えばオープニングでの「JOKER」の文字と、エンディングでの「the end」の文字にイエローが使用されていたのが印象的だった。

 
他には、赤・青・緑の光の三原色を使用したラストシーン。ジョーカーが信者たちによって車の上に横たえられる。車の青と、ジョーカーの髪や目の周りの緑、そして唇と血、彼が着ているスーツの赤。このシーンの色彩の組み合わせがとても美しかった。

 

また、看板などの文字と光がとても印象に残った。例えば、ジョーカーが地下鉄で3人を射殺するシーンで、彼の座席の後ろにある落書き。そして、街中の看板の文字。これらがクリアに視界に入ってくると感じた。また、市長候補がジョーカーの信者によって射殺されるシーン。この直前に映る「Cafe Bar」のネオンサインも印象的だ。

 

 

 

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